B03重元素合成過程の解明に向けた重い中性子過剰核の研究

研究代表者:
西村俊二
(国立研究開発法人理化学研究所・仁科加速器科学研究センター・先任研究員)
身の回りに存在するランタノイドや金、プラチナ、さらにはウランなどの重元素は、どのようにして合成されたのか?本研究では、宇宙の極限環境下において起こる速い中性子捕獲反応(r過程)によって生成される中性子過剰な不安定核(RI)の挙動を解明することで、r過程の起源に迫ります。1)理化学研究所のRIBFで得られる高強度RIビームと、世界最高水準の測定装置を組み合わせることで、中性子過剰なRIの質量や崩壊に関する精密なデータを収集します。2)得られた高精度かつ高統計の実験データを精密計算プラットフォームに提供し、未知のRIを含む数千種の質量や崩壊に関する計算精度の向上に貢献します。3)得られたRIデータを、連星中性子星の合体や超新星爆発を想定した詳細な重元素合成計算に取り込み、太陽系や宇宙初期の金属欠乏星、隕石に記録されたr過程による重元素組成の再現と検証を行います。