A02 密度汎関数法の精密化で挑む元素の起源と高密度核物質の物性

研究代表者:

吉田賢市

(大阪大学・核物理研究センター・准教授)

本計画研究では、宇宙の量子物質科学を切り拓くための基本となる密度汎関数理論(DFT)計算コード群を開発します。核子数の大きな系での精密計算を可能とするべくA01班から提供される質量数10から40程度の原子核の質量や密度分布を再現できるエネルギー密度汎関数を構築します。また、重い中性子過剰核の構造や中性子星の構造を記述するための、大規模超並列計算やGPUを用いた計算に適した実空間差分法に基づくDFT計算の枠組みをA03班と連携して構築します。開発したコードを用いて得られる数値結果とB02班・B03班から得られる実験結果と比較することでエネルギー密度汎関数の精度の検証を行い、重い元素の合成メカニズム(r-過程)やハイペロンを含む高密度物質の構造を定量的に理解します。ここで構築するDFT計算の枠組みはさまざまな異種粒子を含む物理系に適用することができるのが特徴であります。そこで、B01班と連携してプロトンと電子を陽に含む分子系のDFTの構築を試み、原子核の量子効果の解明に貢献します。