A01 10体を超える量子系の厳密計算への挑戦

研究代表者:
肥山詠美子
(東北大学・理学研究科/理化学研究所・仁科加速器科学研究センター・教授/室長)
本学術変革領域の目標は「有限量子多体系計算統一プラットフォーム」の構築とそれを用いた宇宙の量子物質の形成・進化を基本粒子レベルから記述することである。この目標へ向けて、A01班は基幹となる最重要部分を担当し、次の研究を実施します。
- 本領域の要となる本研究計画代表者が提案・開発した「無限小変位ガウス・ローブ関数展開法(GEM)」を異粒子を含む10体問題を超える精密計算を実行します。計算科学の専門家グループ班であるA03班と緊密に連携します。まず、ボーズ粒子(同種対称粒子)の10体問題計算から出発し、フェルミ粒子(同種反対称粒子)の10体問題、さらに異粒子を含む10体問題の計算へと拡大します。
- A01班で構築した結合エネルギーや波動関数を大規模殻模型計算のグループや密度汎関数のグループに受け渡すことで、大規模殻模型計算の精度や密度汎関数の精度を上げ、高精度の100体問題程度の量子多体系計算のプラットフォーム構築を目指します。
- この計算法を量子化学(B01班)の研究対象であるプロトン化分子の分子構造の解明に適用します。
- ハイパー核分光実験(B02班)と連携し、ハイパー核の精密構造計算を行うことで、重粒子間相互作用を決定し、中性子星の内部構造を明らかにします。
- GEM法を原子核反応断面積の計算に適用し、RANS(B04班)に必要な計算データを提供することで、産学連携に貢献します。